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介護報酬改定2022年度(令和4年度)の概要と押さえておきたいポイント

お役立ち情報

2022.12.6

アイキャッチ画像です。

2022年度介護報酬改定の内容がわからず困っていませんか。本改定により職員の処遇改善が図られているため、詳細を把握しておく必要があります。新設された加算を取得できないと、競合施設との待遇に格差が発生するかもしれません。この記事では、2022年度介護報酬改定で新設された加算を中心にその内容を解説しています。以下の情報を参考にすれば、どのような職員が対象になって、どれくらいの加算額が交付されるかがわかるはずです。

    

2022年度(令和4年度)の介護報酬改定概要

2022年度の介護報酬改定は、介護・障害福祉職員の処遇改善を目的とする臨時報酬改定です。「コロナ克服・新時代開拓のための経済対策」を踏まえ実施された点が特徴といえるでしょう。具体的に、どのような改定となっているのでしょうか。ここからは、改定のポイントについて詳しく見ていきます。

今回の改定のポイント

本改定のポイントは以下の2点です[1]。

【ポイント】

  • 収入を3%程度引き上げるための措置を講じる
  • 確実に賃金に反映されるように適切な担保策を講じる

具体的な加算額を想定している点と職員の処遇改善につながるように制度設計されている点がポイントといえるでしょう。

主な要件

主な要件として、加算額・取得要件、対象となる職種などを見ていきます。

@加算額

加算額は、対象となる介護事業所における常勤換算の介護職員1人あたり平均9,000円/月に相当する額です。この金額は前述の「収入を3%程度引き上げる」に相当します。単位数は、各介護事業所の介護報酬の総額に所定の加算率を乗じて求めます。ただし、介護報酬の総額に、介護職員処遇改善加算と特定処遇改善加算は含めません。所定の加算率は、サービスの種類ごとに常勤換算の介護職員数に応じて設定されます。

A取得要件

取得要件として以下の2点があげられています。

【2つの要件】

  • 介護職員処遇改善加算(T)〜(V)のいずれかを取得している
  • 加算額の3分の2は介護職員などの基本給またはきまって毎月支払われる手当に使用する

つまり、本改正の対象となるサービスであっても、いわゆる処遇改善加算を取得していない事業所は加算を取得できません。例えば、処遇改善加算の対象から外れている訪問看護事業所などが考えられます。「基本給またはきまって毎月支払われる手当」はベースアップなどといえるでしょう。

B対象となる職種

対象となるのは原則介護職員です。ただし、事業所の判断で他職種の処遇改善に本改定で発生した収入を充てることが認められています。柔軟な運用が認められているため、対象となる職種の幅は広いといえるかもしれません。

C申請方法

申請は、加算を取得する事業所が都道府県などへ処遇改善計画書などを提出して行います。処遇改善計画書などは、介護職員などの賃金改善額(月額)を記載した書類です。ここでいう賃金改善額(月額)は、対象になる職員全体の賃金改善額を意味します。つまり、個々の職員の賃金改善額を記載する必要はありません。

D報告方法

対象となる事業所は、都道府県などへ処遇改善実績報告書を提出しなければなりません。提出のタイミングは、賃金改善期間後となっています。処遇改善実績報告書には、介護職員などの賃金改善額(月額)を記載します。処遇改善計画書などと同じく、ここでいう賃金改善額(月額)は対象になる職員全体の額です。

E交付方法

都道府県などへ申請した事業者に対し、報酬として支払われます。ちなみに、本改定に投入される国費は150億円程度(令和4年分)です。改定率に換算すると、1.13%程度になります。

Fスケジュール

申請と交付のスケジュールは次のようになっています。

【スケジュール】

  • 申請:令和4年8月から受付開始
  • 交付:令和4年10月分から毎月

※実際の支払いは12月からです。

申請から交付までのフロー

申請から交付までの流れは次の通りです。

【流れ】

  1. 介護事業所が処遇改善計画書などを都道府県へ提出して申請する
  2. 1を受け付けた都道府県などが報酬による支払いを実施する
  3. 2を受けた介護事業所が、賃金改善期間後に処遇改善実績報告書を都道府県へ提出する

報酬による支払いを受けても、所定の要件を満たさない場合は返還を求められます。加算額の3分の2を職員のベースアップに使用するなどの要件を確実に満たさなければなりません。

2022年度(令和4年度)の介護報酬改定の詳しい内容

今回の臨時改定では、新たに「介護職員等ベースアップ等支援加算」が設けられました。「介護職員改善加算」「介護職員等特定処遇改善加算」に次ぐ3つ目の処遇改善加算です。ここからは、これらの対象・算定要件などを解説します。

@新加算(介護職員等ベースアップ等支援加算)

2022年度の介護報酬改定で新設された加算です。対象と算定要件は以下のようになっています。

対象

前述の通り、対象は介護職員です。ただし、柔軟な運用が認められているため、本処遇改善による収入を他の職員の処遇改善に充てることもできます。一定の要件を満たすことは求められますが、事業所の処遇改善に活用しやすい新加算といえるでしょう。

算定要件

算定要件は大きく2つにわかれます。一つ目は、処遇改善加算(T)(U)(V)のどれかを取得していることです。処遇改善加算の所得要件は「B介護職員処遇改善加算」で解説します。二つ目は、加算額の3分の2を介護職員などの基本給あるいは毎月支払われる手当の引き上げに使用することです。二つ目の要件は、継続的な賃上げを実現するため設けられています。

A介護職員等特定処遇改善加算

本加算の主な目的は、介護職員の確保・定着につなげることといえるでしょう。以上の目的を実現するため、経験・技能のある介護職員に重点を置きつつ既存の加算に上乗せする形で2019年に新設されました。対象・加算要件は次の通りです。

対象

対象となるのは「@経験・技能のある介護職員」「A経験・技能のある介護職員を除く介護職員」「B介護職員以外の職員」です。@は、基本的に所属する法人で10年以上の勤続年数がある介護職員を指します。ただし、他の法人での経験や当該職員の技能などを踏まえ、各事業所の裁量で設定できます。

算定要件

次の要件をすべて満たす必要があります。

【要件】

  • 介護職員処遇改善加算(T)(U)(V)のいずれかを取得している
  • 職場環境等要件に関する複数の取組(区分ごとに1つ以上)を実施している
  • 具体的な取組を見える化(公式サイトに掲載)している

「職場環境等要件」は「B介護職員処遇改善加算」で説明します。

B介護職員処遇改善加算

介護職員の処遇改善を図るため2012年に新設された加算です。2011年に廃止された介護職員処遇改善交付金を引き継ぐ形で誕生しました。これらに上乗せする形で、ベースアップ等加算、特定処遇改善加算を受けられる点がポイントです。対象と算定要件は以下のようになっています。

対象

本加算は、介護職員を対象としています。したがって、対象となるのは介護職員だけです。

算定要件

算定要件として次の2点があげられています。

【2つの要件】

  • キャリアパス要件
  • 職場環境等要件

キャリアパス要件は以下の3つで構成されます。

  1. 職位・職責・職務内容などに応じた任用要件と賃金体系を整備すること
  2. 資質向上のための計画を策定して研修の実施又は研修の機会を確保すること
  3. 経験若しくは資格等に応じて昇給する仕組み又は一定の基準に基づき定期に昇給を判定する仕組みを設けること

※就業規則等の明確な書面での整備・全ての介護職員への周知を含む。

引用元:厚生労働省「令和4年度介護報酬改定について」
https://www.mhlw.go.jp/content/12404000/
000955675.pdf

職場環境等要件は、賃金改善を除く働く環境の改善を指します。具体的には、「入職促進に向けた取組」「資質の向上やキャリアアップに向けた取組」など6区分が設けられています。

加算(T)〜(V)の算定要件は次の通りです。

区分 算定要件
加算(T) キャリアパス要件@AB+職場環境など要件
加算(U) キャリアパス要件@A+職場環境等要件
加算(V) キャリアパス要件@またはA+職場環境等要件

当然ですが、区分により算定要件は異なります。

介護サービスごとの加算率一覧

介護職員等ベースアップ等支援加算の単位数は、所定の加算率を用いて求めます。「2022年度介護報酬改定による処遇改善 加算率」は次のようになっています。

サービス区分

サービス区分 加算率
・訪問介護
・夜間対応型訪問介護
・定期巡回・随時対応型訪問介護看護
2.4%
・(介護予防)訪問入浴介護 1.1%
・通所介護
・地域密着型通所介護
1.1%
・(介護予防)通所リハビリテーション 1.0%
・(介護予防)特定施設入居者生活介護
・地域密着型特定施設入居者生活介護
1.5%
・(介護予防)認知症対応型通所介護 2.3%
・(介護予防)小規模多機能型居宅介護
・看護小規模多機能型居宅介護
1.7%
・介護老人福祉施設
・地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護
・(介護予防)短期入所者生活介護
1.6%
・介護老人保健施設
・(介護予防)短期入所量要介護(老健)
0.8%
・介護療養型医療施設
・(介護予防)短期入所療養介護(病院等)
0.5%
・介護医療院
・(介護予防)短期入所療養介護(医療院)
0.5%

引用:厚生労働省「令和4年度介護報酬改定について」
https://www.mhlw.go.jp/content/12404000/
000955675.pdf

介護予防訪問看護や介護予防福祉用具貸与、居宅介護支援などは加算の対象外となっています。すべてのサービスが加算の対象となっているわけではない点に注意が必要です。

2022年度介護報酬改定で職員の待遇を改善

いかがでしたでしょうか。2022年度介護報酬改定について見てきました。今回の改定により、介護職員等ベースアップ等支援加算が新設されています。この加算を取得できないと、競合施設との間に待遇の差が生じるかもしれません。定着率を高めるため、有効に活用することが重要です。

[1]出典:厚生労働省「令和4年度介護報酬改定について」
https://www.mhlw.go.jp/content/12404000/
000955675.pdf

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