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2021年度介護報酬改定の概要と予想される今後の方向性

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2022.12.6

アイキャッチ画像です。

2021年に介護報酬の改定が行われました。内容がわからず戸惑っている方もいるでしょう。介護事業を運営する場合は、最新の情報や改定の方向性を押さえておく必要があります。新たな加算や廃止される加算もあるため、適切に対応しないと事業の運営に悪影響が及ぶからです。この記事では、2021年度介護報酬改定の概要を解説するとともに主なポイントや今後の見通しなどを解説しています。全体像を把握したい方は参考にしてください。

    

2021年度介護報酬改定の概要

2021年度の改定率は+0.70%です。うち0.05%は、新型コロナウイルス感染症に対応するための特例措置となっています(令和3年9月末まで)。ちなみに、2018年の改定率は0.54%、2015年の改定率は−2.27%、2012年の改定率は1.2%でした。大幅増とはいえないものの、前回・前々回の改定率を考えるとまずまずの規模といえるでしょう。

介護報酬改定では、毎回、改定の柱(重視するポイント)が示されます。例えば、2018年の柱は次のようになっています。[1]

【2018年改定の柱】

  • 地域包括ケアシステムの推進
  • 自立支援・重度化防止に資する質の高い介護サービスの実現
  • 多様な人材の確保と生産性の向上
  • 介護サービスの適正化・重点化を通じた制度の安定性・持続可能性の確保

2018年の改定では、団塊の世代が75歳になる2025年を見据えて、それぞれの利用者が適したサービスを受けられるように質が高く効率的な介護提供体制の整備をテーマとして掲げていました。それぞれの概要を簡単に示すと次のようになります。

改定の柱 概要
地域包括ケアシステムの推進 住んでいるエリアに関わらず適切な介護・医療サービスをシームレスに受けられる体制の整備
自立支援・重度化防止に資する質の高い介護サービスの実現 安心・安全かつ自立支援・重度化防止につながる良質な介護サービスの実現
多様な人材の確保と生産性の向上 人材の有効活用、ロボット技術の活用などによる負担軽減ならびに基準緩和による効率化の推進
介護サービスの適正化・重点化を通じた制度の安定性・持続可能性の確保 適正化・重点化による制度の安定性・持続可能性の向上

これを受けて2021年度の介護報酬改定では、以下の5つを改定の柱としています。[2]

【2021年改定の柱】

  • 感染症や災害への対応力強化
  • 地域包括ケアシステムの推進
  • 自立支援・重度化予防の取り組み推進
  • 介護人材の確保・介護現場の革新
  • 制度の安定性・持続可能性の確保

以上を見てわかる通り、2018年の改定と方向性が異なるわけではありません。介護報酬改定は、基本的に将来の姿を予想して大きな流れに沿って行われています。したがって、過去の改定を押さえておくことにも一定の意味はあります。ここからは、2021年改定における5つの柱について詳しく見ていきましょう。

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2021年度介護報酬改定の概要

2021年の介護報酬改定では、以上の5項目が掲げられました。それぞれの概要は次の通りです。

項目@感染症や災害への対応力強化

感染症や災害が起きたとしても、必要とされるサービスを安定的かつ継続的に提供できる体制の構築を目指しています。以上を実現するため、次の4つを掲げています。[3]

【具体的な内容】

  • 感染症対策の強化
  • 業務継続に向けた取り組みの強化
  • 災害への地域と連携した対応の強化
  • 通所介護などの事業所規模別の報酬などに関する対応

それぞれについて解説します。

感染症対策の強化

介護サービス事業者は今回の改定で次の取り組みを義務付けられました。感染の発生ならびに蔓延に関する取り組みの徹底を求めるためです。

【義務付けられた取り組み】

  • 施設系サービス:現行の委員会開催・指針整備・研修と訓練の実施
  • その他サービス:委員会の開催・指針の整備・研修・訓練の実施など

訓練はシミュレーションと言い換えられます。3年間の経過措置を設けている点がポイントです。[4]

業務継続に向けた取り組みの強化

全介護サービス事業者を対象に、次の義務が加えられた点もポイントです。

【義務付けられた取り組み】

  • 業務継続のための計画などの策定・研修の実施・訓練

以上を義務付けた理由は、感染症や災害が発生したとしても、介護を必要とする利用者に対して適切なサービスを提供できる体制を構築するためです。以上の義務に対しても、3年間の経過措置期間が設けられています。

災害への地域と連携した対応の強化

非常災害対策(避難訓練の実施や関係機関との連携確保など)が必要な介護サービス事業者は次の努力義務を課されました。

【努力義務を課された取り組み】

  • 訓練に地域住民が参加できるように連携する

対象となる介護サービス事業者は、通所系・短期入所系・特定・施設系サービスとなっています。

通所介護などの事業所規模別の報酬などに関する対応

感染症の流行や災害の発生などで利用者が減少した場合も、状況にあわせて安定したサービスを提供できるように通所介護などの報酬について特例措置が設けられました。対象となる施設は、通所介護・通所リハビリテーション・地域密着型通所介護・認知症対応型通所介護です。具体的な改定点は次の通りです。

【改定点】

  • 小さな規模区分のある大規模型は、事業所規模別の報酬区分を決定するときに、延べ利用者数の減少が生じた月の実績を基礎にできる
  • 延べ利用者数の減少が生じた月の実績が前年度実績(延べ平均)から5%以上減少している場合は3カ月間にわたり基本報酬に対して3%の加算を行う

1つ目の改定のポイントは、前年度の平均延べ利用者数ではなく減少が生じた月の実績を使用できることです。2つ目の改定のポイントは、新型コロナウイルス感染症による利用者減に対しては年度当初から対応できることといえるでしょう。

項目A地域包括ケアシステムの推進

住み慣れた地域で利用者がその人らしく暮らせるように必要なサービスがシームレスに提供される取り組みを推進することを掲げています。具体的な内容は次の通りです。

【具体的な内容】

  • 認知症への対応力向上に向けた取り組みの推進
  • 看取りへの対応の充実
  • 医療と介護の連携推進
  • 在宅サービス、介護保険施設や高齢者住まいの機能・対応強化
  • ケアマネジメントの質の向上と公正中立性の確保
  • 地域の特性に応じたサービス確保

それぞれについて解説します。

認知症への対応力向上に向けた取組の推進

認知症への対応力を向上させるため次の義務を新たに課しました。

【新たな義務】

  • 介護に携わる職員が認知症介護基礎研修を受講するための措置

1つ目の以上の措置には、3年間の経過措置が設けられています。同様の目的で、訪問系サービスに対する認知症専門ケア加算を新設した点もポイントです。また、多機能系サービスにおいて、認知症行動・心理症状緊急対応加算を新たに設けている点も見逃せません。これらの加算は、緊急時に宿泊したいとする要望に対応するため設けられました。

看取りへの対応の充実

看取り期における関係機関との連携ならびに家族との話し合いを強化するため、基本報酬・看取り加算の算定用件に「「人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン」などに沿った取り組みが求められるようになりました。

また、特別養護老人ホーム・介護保険施設・介護付きホーム・認知症グループホームにおける看取り加算については、死亡日以前30日前に加え一定期間の対応についても評価されることになっています。介護付きホームは、看取り期に夜勤・宿直の看護師を配置している場合に評価を受けられます。

看取り期においては「訪問介護にかかる2時間ルール」が緩和されるようになった点もポイントです。今回の改定により、訪問介護のサービス利用間隔が2時間未満であっても合算せずに別々に算定できるようになりました。

医療と介護の連携推進

居宅療養管理指導で、次の2点が新たな努力義務として課されました。

【努力義務】

  • 利用者の社会生活上の課題に目を向けて地域社会の支援につながるように留意する
  • ケアマネージャーに関連する情報を提供する

短期療養における基本評価を見直し、医療的な処置を必要とする利用者を積極的に受け入れるため総合的な医学的管理を評価するようになった点もポイントです(総合医学管理加算)。

また、老人保健施設においては、適切な医療を提供するため所定疾患療養費に検査実施の明確化などを加えています。継続的な薬物治療を提供する目的で、かかりつけ医連携薬剤調整加算の見直しも行っています。

以上に加え、介護医療院で長期入院患者の受け入れ・サービス提供を新たに評価するようになっています(長期療養生活移行加算)。同施設の機能を充実させるためです。

在宅サービス、介護保険施設や高齢者住まいの機能・対応強化

今回の改定により、利用者の利便性を高めるため訪問介護・通院など乗降介助の始点または終点が居宅の場合、目的地間の移送も算定可能になりました。

また、訪問入浴介護においては、新規利用者が新たにサービスを利用する前に行う調整を評価することになっています。清拭・部分浴に関しては、減算幅の見直し(1回あたり30%→10%)となりました。

訪問看護は主治医が認めた場合、退院・退所当日の算定が可能になっています。看護体制強化加算の要件・評価を見直している点も見逃せません。

同様に見直しが行われたものとして、認知症グループホーム・短期療養・多機能系サービスがあげられます。これらにおいては、緊急時短期利用の受入日数の要件・評価の見直しが行われています。緊急時の宿泊要望に応えるためです。

以上のほかでは、個室ユニット型施設の定員/ユニットが「原則としておおむね10人以下とし15人を超えないもの」とすると改められています。ポイントは、実態に即した職員配置を求めていることです。

ケアマネジメントの質の向上と公正中立性の確保

医療機関との連携強化、介護予防支援の充実などを図るため次の改定が行われました。

【改定点】

  • 居宅介護支援利用者の診察に同席し、医療関係者と情報連携を行い、ケアマネマネジメントに活かすことを評価する(通院時情報連携加算)。
  • ICTを活用または事務職員を配置している場合は逓減性の適用を40件以上から45件以上へ見直す
  • 介護予防支援で居宅介護支援事業者との情報連携を新たに評価する(委託連携加算)
  • 事業所間連携で体制確保などを図る事業所を特定事業所加算で新たに評価する

地域の特性に応じたサービス確保

過疎地域への対応、地方分権提案を踏まえ次の改定が行われました。

【改定点】

  • 夜間対応型訪問介護・多機能系サービス・認知症訪問介護で、中山間地域などに係る加算を追加。
  • 認知症グループホームのユニット数を弾力化するとともにサテライト型事業所を創設。
  • 令和元年地方分権提案に配慮し、多機能系サービスにおいて登録定員を超過した場合の報酬減算を一定期間に限り見送れるようにする(過疎地域などが対象。市町村が認めた場合)

項目B自立支援・重度化防止の取組の推進

この項目では、データ活用などを行いながら科学的な根拠のある質の高いサービス提供を推進するため以下の改定が行われています。

【改定のポイント】

  • リハビリテーション・機能訓練、口腔、栄養の取り組み連携・強化
  • 介護サービスの質の評価と科学的介護の取り組み推進
  • 寝たきり防止など、重度化防止の取り組み推進

それぞれについて解説します。

リハビリテーション・機能訓練、口腔、栄養の取組連携・強化

次の改定が行われています。

【改定】

  • 各種加算の算定要件となっている計画作成・会議に、リハビリ専門職・管理栄養士・歯科衛生士が適宜参加することを明確化。
  • 訪問リハビリテーション・通所リハビリテーションのリハビリテーションマネジメント加算(I)を廃止するとともに基本報酬算定要件とする。
  • 老人保健施設などに、VISTへデータを提出しPDCAサイクルを回すことを評価する取り組みを拡充。(リハビリテーションマネジメント計画書情報加算・理学療法・作業療法及び言語聴覚両方に係る加算)
  • 訪問リハビリテーションの算定限度(週6回)を、退院・退所日から3カ月以内は週12回とする。
  • 通所介護・特別養護老人ホームなどにおける生活機能向上連携加算について、ICTの活用などにより外部のリハビリテーション専門職が事業所を訪れず利用者に関する助言などを行った場合の評価区分を新設する。
  • 自立支援につながる機能訓練の提供を促すため、通所介護の個別機能訓練加算における加算区分・要件を見直す。
  • 通所介護・通所リハビリテーションの入浴介助加算で、個別の入浴計画に基づく入浴介助を評価する。
  • 施設系サービスで口腔衛生管理体制加算を廃止し、基本サービスとして口腔衛生体制の整備ならびに利用者の状態に応じた口腔衛生管理の実施を義務化(3年間の経過措置あり)。
  • 施設系サービスで栄養マネジメント加算と低栄養リスク改善加算を廃止。基本サービスとして、利用者の状態に応じた栄養管理を計画的に行うことを義務化(3年間の経過措置あり)。全入所者に対するきめ細かな栄養ケアの実施、体制強化を評価する加算を新設(栄養マネジメント強化加算)。
  • 通所系サービスなどで、介護職員などが実施する口腔スクリーニング、介護職員などと管理栄養士が連携して行う栄養アセスメントの取り組みを新たに評価(口腔・栄養スクリーニング加算)。栄養改善加算で、必要に応じ管理栄養士が利用者の居宅を訪問することを求める。
  • 認知症グループホームで、栄養改善に資する体制を構築するため管理栄養士が介護職員などへ助言・指導を行うことを新たに評価(栄養管理体制加算)。

介護サービスの質の評価と科学的介護の取り組み推進

CHASE・VISITの活用によりケアの質の向上を図るため次の改定が行われています。

【内容】

  • 施設系・通所系・居住系・多機能系サービスで、全利用者のデータをCHASEに提供し、事業所単位でPDCAサイクルを回しケアの質向上に取り組むことを新たに評価(科学的介護推進体制加算)。
  • 既存の加算などで、利用者単位の計画に基づくPDCAサイクルの取り組みにプラスしてCHASEなどを利用した取り組みを評価。
  • 全事業者にCHASE・VISITを活用したPDCAサイクルの推進とケアの質向上を推奨。
  • 認知症デイサービス・介護付きホーム・特別養護老人ホームにADL維持等加算の対象を拡充。ADLを維持・改善する事業者を高く評価する評価区分を新設。
  • 老人保健施設の在宅復帰・在宅療養支援等評価指標を見直す。(6カ月間の経過措置あり)

寝たきり防止など、重度化防止の取り組み推進

施設系サービスで、全利用者を対象に医学的評価に基づく毎日の過ごし方などへのアセスメント実施、毎日の生活全体における計画に基づくケアの実施を新たに評価することになりました(自立支援促進加算)。同様に、褥瘡マネジメント加算、排泄支援加算でアウトカムを新たに評価するなどの見直しが行われています。

項目C介護人材の確保・介護現場の革新

喫緊・重大な課題に対応するため次の改定が行われています。

【改定のポイント】

  • 介護職員の処遇改善や職場環境の改善に向けた取組の推進
  • テクノロジーの活用や人員基準・運営基準の緩和を通じた業務効率化・業務負担軽減の推進
  • 文書負担軽減や手続きの効率化による介護現場の業務負担軽減の推進

それぞれについて見ていきましょう。

介護職員の処遇改善や職場環境の改善に向けた取組の推進

職場環境改善を進めるため、処遇改善加算をはじめとする職場環境要件について見直しを行っています。また、特定処遇改善加算を活用しやすい仕組みとするため、配分ルールを経験・技能のある介護職員はその他の介護職員の「2倍以上とすること」を「より高くすること」に見直しました。

サービス提供体制強化加算で、介護福祉士の割合や勤続年数の長い介護福祉士の割合が高い事業者を評価する区分を設けた点も見逃せません(特定事業者加算)。

また、今回の改定により人員配置基準や報酬算定基準において、育児休業・介護休業取得時に非常勤職員を代替職員として補充した場合、短時間勤務などであっても常勤として扱えるようになっています。

全事業者に対して、ハラスメント対策を求めている点もポイントです。

テクノロジーの活用や人員基準・運営基準の緩和を通じた業務効率化・業務負担軽減の推進

テクノロジー活用に関して次の改定が行われています。

【改定】

  • 特別養護老人ホームなどで、見守り機器を導入したときの夜勤職員配置加算について、見守り機器導入割合の見直しを行う(15%→10%)。
  • 見守り機器100%導入などを要件として、基準を緩和した区分を設ける(0.9人→0.6人)。
  • 見守り機器100%導入などを要件として、特別養護老人ホーム(従来型)の夜間人員配置基準を緩和する。
  • 日常生活継続支援加算など(職員の体制などを要件とする加算)の要件で、テクノロジー活用を考慮する。

また、運営基準や加算基準などに関する会議などでテレビ電話などを活用することを認めています。

さらに、薬剤師による居宅療養管理指導で、情報通信機器を用いた服薬指導を評価することになっています。

加えて、夜間対応型訪問介護で、随時訪問の訪問介護職員などとの兼務、複数事業所間における通報受付の集約化、別の訪問介護時証書などへ事業の一部委託が可能になっている点も見逃せません。

認知症グループホームの夜勤職員体制では、3ユニットの場合、一定の要件を満たすことで例外的に夜勤2人以上の配置を選択できるようになっています。

特別養護老人ホームなどの人員配置基準は、介護・看護職員(従来型・ユニット型併設)、管理者・介護職員(小規模多機能と併設)の兼務などの見直しが行われています。

文書負担軽減や手続きの効率化による介護現場の業務負担軽減の推進

この項目では以下の改定などが行われています。

【ポイント】

  • 利用者への説明・同意、記録の保存・交付で電磁的な対応を原則認める。
  • 運営規定(重要事項)などの掲示を、閲覧できる状態で、ファイルなどで備えておくことを可能とする。

項目D制度の安定性・持続可能性の確保

ここでは次の改定が行われています。

【改定】

  • 評価の適正化・重点化
  • 報酬体系の簡素化

それぞれについてみていきましょう。

評価の適正化・重点化

改定の主な内容は次の通りです。

【改正点】

  • 通所系・多機能系サービスで、同一建物減算適用時などの区分支給限度基準額の計算方法を見直す。
  • 夜間対応型訪問介護で、定額オペレーションサービス部分の評価を適正化する。
  • 訪問看護、介護予防訪問看護で、理学療法士・作業療法士・言語聴覚士が実施するサービスの評価・提供回数などを見直す。
  • 介護予防サービスとして実施されリハビリテーションの評価を見直す(長期利用時)。
  • 居宅療養管理指導で、単一建物居住者の人数による評価見直しを行う。
  • 介護療養型医療施設の基本報酬を見直す。
  • 介護職員処遇改善加算(W)(X)を廃止する(1年間の経過措置あり)。
  • 生活援助を利用回数が多い利用者のケアプランについて検証方法・届出頻度の見直しを行う。
  • サービス付き高齢者向け住宅などで自治体による指導を徹底する。

報酬体系の簡素化

療養通所介護の報酬体系が、日単位報酬体系から月単位包括報酬へ変更されています。また、リハビリテーションサービスでは、リハマネ加算(T)、施設系サービスでは口腔衛生管理体制加算・栄養マネジメント加算が廃止され、基本報酬で評価することになっています。さらに、処遇改善加算(W)(X)と移行定着支援加算(介護医療院)も廃止、通所介護の個別機能加算は体系整理となっています。

その他事項

その他事項では、次の改定が行われています。

【改定】

  • リスクマネジメントを推進するため事故報告様式を作成・周知。施設系サービスで安全対策担当者の設置を義務付け(6カ月間の経過措置あり)。事故発生防止の取り組みが行われていない場合は基本報酬を減算。
  • 全介護サービス事業者を対象に、虐待の発生・再発を防止するための委員会の開催、研修の実施などを義務付け(3年間の経過措置あり)。
  • 介護保険施設の食費基準費用を、1,392円から1,445円へ見直し。
    

2021年度介護報酬改定によって変化のあった加算

2021年度介護報酬改定により変化があったものを抜粋して紹介します。[4]

新設された加算

「地域包括ケアシステムの推進」では、「認知症専門ケア加算(T)(U)」、「認知症行動・心理症状緊急対応加算」、「見取り介護加算」「総合医学管理加算」「かかりつけ医連携薬剤調整加算(T)(U)(V)」「長期療養生活以降加算」などが新設されています。

「地域包括ケアシステムの推進」においては、見取りの対応充実を図るため死亡日45日前からの対応について新たな評価区分が設けられました。

【死亡日45日前からの対応】

  • 死亡日31日〜45日以下|特養:72単位/日・老健:80単位/日・特定:72単位/日・GH:72単位/日

介護付きホームでは、見取り期に夜勤または宿直の看護職員を配置している場合に評価する新区分「看取り加算(U)」が設けられています。

「自立支援・重度化防止の取組の推進」で新設されたのは、「リハビリテーションマネジメント計画書情報加算(老人保健施設)」「理学療法、作業療法及び言語聴覚療法に係る加算(医療院)」、通所系・多機能系・居住系サービスにおける「口腔・栄養スクリーニング加算(T)(U)」、通所系サービス・看護小規模多機能型居宅介護における「栄養アセスメント加算」、認知症グループホームにおける「栄養管理体制加算」などです。

見直しされた加算

「感染症や災害への対応力強化」では、感染症・災害の影響で利用者減になった月の実績が前年度平均延べ利用者数などから5%以上減少している場合、基本報酬に3%の加算を行えるようになりました。

また、「自立支援・重度化防止の取組の推進」で、ADL維持等加算の算定用件見直しが行われています。具体的には、「評価対象利用期間の初月において要介護度3以上の利用者が15%以上」を廃止するなどの見直しが行われています。

拡大された加算

「地域包括ケアシステムの推進」で、認知症専門ケア加算の訪問サービスが拡充されています。具体的には、訪問介護、訪問入浴介護、夜間対応型訪問介護、定期巡回・随時対応型訪問介護看護で「認知症専門ケア加算(T)(U)」が加えられています。

また「自立支援・重度化防止の取組の推進」で、ADL維持等加算の対象が認知デイ・介護付きホーム・特養へ拡充されています。CHASE・VISITを活用したリハビリテーションマネジメントの評価を老人保健施設(リハビリテーションマネジメント計画書情報加算)・介護医療院(理学療法・作業療法及び言語聴覚両方に係る加算)へと拡張している点もポイントです。

推進された加算

「地域包括ケアシステムの推進」で、介護医療院における長期入院患者の受け入れを推進するため「長期療養生活移行加算」が設けられました。また、短期入所系・施設系サービスでは、ユニットケアを推進するため、1ユニット当たりの定員を「原則おおむね10人以下とし、15人を超えないものとする」に改められています。

「自立支援・重度化防止の取組の推進」では、CHASE・VISITを活用したPDCAサイクルの推進ならびにケアの質の向上を図る取り組みを推進するため、施設系サービスにおいては「科学的介護推進体制加算(T)(U)」、通所系・多機能系・居住系サービスにおいては「科学的介護推進体制加算」が設けられています。

2021年度介護報酬改定のポイント

ここからは、今回の改定が現場にもたらす影響などを解説します。

感染症や災害への対応力強化のポイント

感染症の発生などに対応するため、委員会の開催・指針の整備・研修の実施、訓練の実施が義務付けられることになりました。また、災害対策では訓練の実施にあたり地域住民が参加できるように連携することが努力義務として課されています(通所・短期入所・特定・施設系サービスが対象)。各事業者は、これらに対応する必要があります。

地域包括ケアシステムの推進のポイント

認知症高齢者への対応力を強化するため、介護にかかわる職員に認知症介護基礎研修を受講させることを義務づけられました。3年間の経過措置期間内に、対応を図らなければなりません。

自立支援・重度化予防の取り組み推進のポイント

CHASE・VISITを活用したケアの質の向上を図る取り組みが推奨されています。介護療養型医療施設を除く施設系サービス、通所系・多機能系・居住系サービスでは、科学的介護推進体制加算が新設されています。これらの活用も重要なポイントになるはずです。

介護人材の確保・介護現場の革新

全ての事業者が、適切なハラスメント対策を講じなければならないと規定されています。ハラスメント対策に関する方針を定めるとともに必要な措置を講じることが求められます。育児・介護休業取得時に、短時間勤務などを行う代替職員を常勤として扱えるようになった点もポイントです。

ニーズに応じたサービスの適正化または見直しが図られています。例えば、夜間対応型訪問介護では、定額オペレーションサービス部分の評価が適正化されています。1カ月にわたりサービスを利用していない利用者などが存在するからです。事業者は、今回の改正による適正化・見直しに対応する必要があります。

今後の介護報酬改定の動き

大きなテーマになると予想されるのがICTの活用です。介護の質を高めるため、業務効率を改善するため、介護報酬改定をテコとしてICTの活用を推進すると考えられます。併せて予想されるのが、アウトカムを重視した評価です。ここでいうアウトカムは、利用者の状態変化を意味します。例えば、介護サービスの利用で在宅復帰できたなどが考えられるでしょう。ICTの活用により、介護の質を大幅に高められる可能性があります。したがって、ICT活用とアウトカム評価は無関係とはいえません。以上の2点は、今後の介護報酬改定で注目するべきポイントになると考えられます。

2021年度介護報酬改定を押さえておきましょう

いかがでしたでしょうか。2021年に行われた改定のポイントを解説しました。定期的に改定が実施されるため、最新の情報を押さえておくことが重要といえるでしょう。さらに詳しい内容は、厚生労働省が発表している資料などでご確認ください。

[1]出典:厚生労働省「平成30年度介護報酬改定の主な事項について」
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12300000-Roukenkyoku/0000196991.pdf

[2][3][4]出典:厚生労働省「令和3年度介護報酬改定の主な事項について」
https://www.mhlw.go.jp/content/12404000/
000753776.pdf

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