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LIFE(科学的介護情報システム)とは?メリットや活用方法を紹介

お役立ち情報

2022.12.6

アイキャッチ画像です。

LIFEの概要や導入するメリットがわからず悩んでいませんか。ケアの質を高められるといわれてもピンとこない方もいるでしょう。結論から述べると、LIFEは介護事業者の業務の在り方を大きく変える可能性がある情報システムです。適切に活用することで、事業所の経営に良い影響を与えられる可能性もあります。この記事では、LIFEの概要とともに活用方法や導入によって得られるメリットなどを解説しています。

    

介護情報システムLIFEとは

LIFEは2021年4月に運用がはじまった情報システムです。2017年から運用されているVISITと2018年から運用されているCHASEを統合する形で誕生しました。LIFEは「Long-term care Information system For Evidence」頭文字をとった略語です。これを日本語に訳すと「科学的介護情報システム」となります。厚生労働省によると、LIFEは次のような情報システム、あるいはツールです。

〇 介護サービス利用者の状態や、介護施設・事業所で行っているケアの計画・内容などを一定の様式で入力すると、インターネットを通じて厚生労働省へ送信され、入力内容 が分析されて、当該施設等にフィードバックされる情報システム
〇 介護事業所においてPDCAサイクルを回すために活用するためのツール

引用:厚生労働省老健局老人保健課「科学的介護情報システム(LIFE)による科学的介護の推進について」
https://www.mhlw.go.jp/content/12301000/
000949376.pdf

情報収集とフィードバックを行い介護事業所がPDCAサイクルを回すことをサポートし、科学的介護の質を高めるツールといえるでしょう。LIFEの運用は、どのような流れで始まったのでしょうか。

運用が始まった背景

LIFEの背景にあると考えられているのが高齢化の進展です。介護保険がスタートした2000年における65歳以上人口は2,187万人、高齢化率は17.2%でした。[1]20年後の2020年における65歳以上人口は3,618万人、高齢化率は28.8%です。[2]20年間で高齢者人口は1,431万人、高齢化率は11.6%も増加しています。高齢化の進展とともに伸びているのが介護保険の総費用額です。財務省が発表している資料によると、2000年における総費用額は3.6兆円、介護保険第1号被保険者の月額保険料は2,911円(全国平均)でした。2020年になると、総費用額は12.4兆円(+地域支援事業0.6兆円)、介護保険第1号被保険者の月額保険料は5,869円(全国平均)となっています。2000年と比べると、総費用額は約3.4倍、月額保険料は約2倍です。[3]

伸び続ける介護保険総費用、月額保険料に対処するため、これまで以上に要介護度を改善あるいは維持すること、自立支援をサポートしていくことが求められるようになりました。以上の流れの中でキーワードになったのが「科学的介護」です。科学的介護の実践にあたり、厚生労働省は要介護認定データ・介護保険レセプトデータを集めて介護保険総合データベースを作成しています。また、前述の通り2017年からVISIT、2020年からCHASEの運用を始めました。これらを統合する形で運用を始めたのがLIFEです。[4]科学的介護とはどのようなものなのでしょうか。

科学的介護とは

厚生労働省が発表している資料によると次のように説明されています。

科学的裏付け(エビデンス)に基づく介護

引用:厚生労働省「科学的介護情報システム(LIFE)による科学的介護の推進について」
https://www.mhlw.go.jp/content/12301000/
000949376.pdf

具体的には、次の流れで行う介護を指します。

@ 科学的裏付け(エビデンス)に基づいた介護の実践
A 科学的に妥当性のある指標等を現場から収集、蓄積し、分析
B 分析の成果を現場にフィードバックし、更なる科学的介護を推進

引用:厚生労働省「科学的介護情報システム(LIFE)による科学的介護の推進について」
https://www.mhlw.go.jp/content/12301000/
000949376.pdf

@からBの順で介護を行い、再び@へ戻る点がポイントです。

ちなみに、ここでいる科学的裏付けは科学的な根拠と言い換えられるでしょう。研究の結果を記した論文などとして蓄積されます。例えば「ある状態に対して方法Aでリハビリテーションを実施した場合と方法Bでリハビリテーションを実施した場合ではAのほうが効果的だった」などが考えられます。このような科学的裏付けに基づく介護を科学的介護というのです。当然ながら、単に科学的根拠に従うだけでなく「利用者に適している介護か」「利用者が求めている介護か」などを考慮することも求められます。

VISITとCASEとは

LIFEの基礎になっているVIST・CHASEはどのようなものなのでしょうか。

VISITは「monitoring & eValuation for rehabIlitation ServIces forlong-Term care」から大文字部分を抜き出した略称です。具体的には、通所リハビリテーション・訪問リハビリテーションから、リハビリテーション計画やリハビリテーション会議録・プロセス管理票などの情報を収集するデータベースを指します。主な目的は、さまざまなデータを収集・分析してフィードバックを行うことによりサービスの質を高めることです。VISITを導入することにより、事業者はリハビリ計画書の作成支援・リハビリ会議の議事録作成支援、生活行為向上リハビリ実施計画書の作成支援などを受けられます。

CHASEは「Care, HeAlth Status & Events」の頭文字で構成される略語です。具体的には、介護保険総合データベースとVISITで収集されていないデータを収集し、介護の科学的裏付け構築を目指すデータベースを指します。対象となるのはすべての介護サービスです。もともとは200項目を超えるデータを収集していましたが、職員の負担を軽減するため収集の対象は総論・認知症・口腔・栄養の4分類30項目となっています(初期仕様)。例えば「認知症」では「認知症の既往歴等」などの情報が集められます。CHASEで集めたデータを分析することにより、介護事業者は科学的裏付けのある介護を実践するためのフィードバックを受けられます。

LIFEの活用方法

LIFEは、データに基づくPDCAサイクルの推進を目指しています。具体的には、介護施設や介護事業所が作成したデータを収集・蓄積・分析し、これらの基づくフィードバックを計画書の作成などに活かしてもらうことでPDCAサイクルを回し介護の質を高めることを想定しています。以上の流れをまとめると次のようになります。

【LIFEを利用したPDCAサイクル】

  1. 計画書の作成(PLAN)
  2. 計画書に基づくケア(DO)
  3. ケアの実績などの記録・評価(CHECK)
  4. フードバックに基づく計画書の改善(ACTION)

LIFEにデータを提出するのはCHECKの段階です。データの提出は、LIFEと連携している介護記録ソフトで行えます。介護記録ソフトがLIFEと連携していない場合などは、LIFEに直接データを入力します。

フィードバックの活かし方はさまざまです。フィードバック票をもとにスタッフで議論を重ねてケアの質を高める、全国平均と比較して事業所の特徴を把握する、利用者に提供しているケアについて振り返るなどが考えられます。例えば、全国平均と比較して重度利用者の割合が低いにもかかわらず全介助の割合が高い場合、利用者が自分でできることまで行っている可能性が考えられます。全国平均と比較すれば、自施設の「当たり前」が本当に当たり前か評価しやすくなるはずです。

LIFE導入のメリット

想定される主なメリットは次の通りです。

利用者に合わせたケアを提供しやすくなる

全国の事業者から集められたデータが蓄積されているため、LIFEを導入することにより利用者の状態に合わせたケアを提供しやすくなります。事業所内で、ケアの方法について話し合いを進めやすくなる点も見逃せません。具体的なデータを活用できるため、建設的な議論を行えます。意識的に利用すれば、なんとなくケアの方法を決めることはなくなるでしょう。利用者にとってもスタッフにとっても導入するメリットは大きいといえます。

業務改善につながる

全国平均と比較することで自施設の特徴が明らかになると、業務を改善するため注力するべきポイントが見えてきます。全体のデータをもとに、個々の利用者のデータを分析してケアの質を高めることも可能です。例えば、排便コントロールで一部介助を必要とする利用者の割合を全国と比較して、個々の利用者のケアの在り方を検討するなどが考えられます。LIFEを活用して、業務の進め方を見直すこともできます。

加算をとれる

LIFEの導入は経営面にもプラスの影響を与えます。データをLIFEへ提供するとともにフィードバック機能を活用することで加算をとれるからです。ケアの質も高められるため、積極的に活用したい情報システムといえるでしょう。

科学的介護推進体制加算(LIFE加算)とは

要件を満たすようにLIFEを活用することで受けられる加算です。具体的には、以下の2つの要件を満たす必要があります。

【要件】

  • 様式情報のデータをLIFEへ提出する
  • フィードバックを活用して、計画書などを改善していく

加算の目的は、PDCAサイクルを回すこととケアの質を高める取り組みを推進することです。対象の施設と点数は次のようになっています。[5]

【施設系サービス】

  • 科学的介護推進体制加算(T):40単位/月
  • 科学的介護推進体制加算(U):60単位/月

※特別養護老人ホーム・地域密着型特別養護老人ホーム(服薬情報の提供を求めない)の科学的介護推進体制加算(U)は50単位/月

【通所系・多機能系・居住系サービス】

  • 科学的介護推進体制加算:40単位/月

LIFEの活用を要件としている加算は、このほかにも複数存在します。

LIFEは注目の情報システム

いかがでしたでしょうか。この記事では、LIFEについて解説しました。科学的裏付けに基づく介護を実践するため欠かせない情報システムです。もちろん、加算をとれる点も見逃せません。必要性の高い情報システムといえるでしょう。

[1][4]出典:厚生労働省:「第1部 新しい高齢者像を求めてー21世紀の高齢社会を迎えるにあたって第1章 多様な高齢者」
https://www.mhlw.go.jp/www1/wp/wp00_4/
chapt-a1.html

[2]出典:総務省統計局「統計トピックスNo.129 統計からみた我が国の高齢者−「敬老の日」にちなんで−1.高齢者の人口」
https://www.stat.go.jp/data/topics/
topi1291.html

[3]出典:財務省「社会保障等(参考資料)」
https://www.mof.go.jp/about_mof/councils/
fiscal_system_council/sub-of_fiscal_system/proceedings/
material/zaiseia20210415/02.pdf

[5]出典:厚生労働省「令和3年度介護報酬改定の主な事項について」
https://www.mhlw.go.jp/content/12404000/
000753776.pdf