ASP介護ソフト「楽にネット」 居宅ケアプラン・予防ケアマネジメントを一元管理!

050-5846-5624

受付時間
9:00〜17:30 (土日祝・年末年始・GW休暇は除く)
但し、請求期間は9:00〜18:00

利用環境 セキュリティ

訪問看護ステーションとは?開業する要件や流れを解説

お役立ち情報

2023.2.15

アイキャッチ画像です。

2025年問題に対処するため、訪問看護ステーションの重要性が高まっています。今後の需要拡大を見据えて開業したいと考えている方もいるでしょう。ここでは、訪問看護ステーションの概要、求められる役割、開業の要件、開業の流れなどを解説しています。また、提供する主なサービスも紹介しています。以下の情報を参考にすれば、全体像を把握できるはずです。開業などを検討している方は参考にしてください。

    

訪問看護とは

看護師・保健師や理学療法士・作業療法士などが利用者の居宅を訪問し、病気などに合わせた看護を提供するサービスです。サービスの利用にあたっては、介護保険または公的医療保険を適用できます。介護保険における訪問看護は、要介護状態になった利用者が、住み慣れた地域で能力に応じたその人らしい暮らしを実現するため、療養生活を支援し、心身の機能の維持回復・生活機能の維持向上を目指すものと定義されています。[1]具体的には、次のサービスなどを提供します。

【サービス内容】

  • ・健康状態の観察(体温・血圧・脈拍・体重・栄養状態・排泄状況など)
  • ・療養生活の支援(清拭・入浴介助・排泄支援・食事支援など)
  • ・医療的なケア(褥瘡のケア・吸引・服薬管理・疼痛緩和・医師の指示に基づく処置など)
  • ・リハビリテーション(体位変換・ADLの維持向上に向けた訓練・福祉用具の利用など)
  • ・療養生活に関する相談とアドバイス
  • ・緊急時対応
  • ・医師・ケアマネなどとの連携

訪問看護の対象は、居宅で療養生活を送っている方で、主治医から訪問看護の必要性を認められた方です。介護保険を適用する場合、65歳以上(第1号被保険者)で要支援認定・要介護認定を受けた方、40歳以上65歳未満(第2号被保険者)で特定疾病(16種類)が原因で要支援・要介護認定を受けた方が対象になります。介護保険は公的医療保険に優先されます。つまり、公的医療保険の対象は、40歳未満の方、40歳以上で要支援・要介護認定を受けていない方です。介護保険と公的医療保険を併用することはできません。

訪問看護ステーションとは

介護保険法に基づき都道府県知事などから指定訪問看護事業者として指定を受けている事業所です。利用者に訪問看護サービスを提供します。介護保険法に基づく指定訪問看護事業者の指定を受けると、公的医療保険に基づく指定訪問看護事業者とみなされるため、介護保険・公的医療保険の双方に対応できるようになります。

サービスは、利用者の主治医が交付する訪問看護指示書ならびにケアマネージャーが作成するケアプラン(介護保険の場合)に基づき提供されます。理学療法士・作業療法士などを配置して、訪問看護サービスの一環としてリハビリテーションを提供することも可能です。主治医が勤務する医療機関に縛られず、利用者が事業所を選択し訪問看護を受けられる点が訪問看護ステーションの魅力といえるでしょう。

訪問看護ステーションが果たす役割

介護保険と医療保険に対応している訪問看護ステーションは、地域包括ケアシステムの要になることが求められています。地域包括ケアは、介護や医療が必要な状態になっても、住み慣れた地域で能力に応じてその人らしい暮らしを実現できるようにさまざまな支援などを包括的に確保する考え方です。この考え方を実現する仕組みを地域包括ケアシステムといいます。

具体的には、退院してから訪問診療や訪問看護、訪問リハビリテーションを自宅で受けられる社会、介護保険サービスだけでなく見守りや買い物支援など日常生活に必要なサービスを受けられる社会、地域の活動に参加することで生きがいをもって生活できるとともに心身の機能を維持できる社会、コーディネーターがこれらを切れ目なく提供してくれる社会を指します。地域包括ケアシステムは、中学校区を基本として整備が進められています。中学校区は、必要なサービスを概ね30分以内に受けられる日常生活圏です。

日本政府は、いわゆる団塊の世代(1947〜1949生まれ)が後期高齢者になる2025年をめどに地域包括ケアシステムの実現を目指しています。今後、訪問看護ステーションが果たす役割は非常に大きいといえるでしょう。

【関連記事】サービス提供責任者(サ責)とはどんな仕事?

訪問看護ステーションを開業するための要件

開業にあたり求められる要件は次の通りです。

法人格を有している

社会福祉法人、医療法人、NPO法人、営利法人、財団法人などの法人格を有していることが求められます。

管理者の資格

訪問看護ステーションの管理者は、やむを得ない理由がある場合の除き、専従かつ常勤の保健師または看護師でなければなりません。また、管理者は、適切な訪問看護を行うための知識・技能も求められます。具体的な規定はありませんが、一定の経験を求められるといえるでしょう。

人員配置

訪問看護ステーション(病院・診療所以外)は、常勤換算で2.5人以上の保健師・看護師・准看護師を配置しなければなりません。うち一名は、常勤であることを求められます。また、事業の実情に応じて、理学療法士・作業療法士・言語聴覚士を適当数配置します。

設備と備品

事業の運営に必要な広さを備えた専用の事務室、訪問看護の提供に必要な設備と備品を用意しなければなりません。具体的には、訪問看護用の衣類、器具、機材、事務用品、駐車場、車両などがあげられるでしょう。

訪問看護ステーションを開業する際の流れ

事業所を開業する基本的な流れは次の通りです。

事業計画の立案

事業所の理念、経営者の経歴、事業内容・資金計画・収支計画などをまとめた事業計画を作成します。資金計画のポイントは、支出の内容を明確にしておくことです。収支計画では、地域の実情を踏まえて現実的な計画を立てることが求められます。

法人設立

介護保険法に基づき都道府県知事などの指定を受けるため法人格が必要です。法人格を有していない場合は法人を設立します(有している場合は法人内に事業所を登記)。

開業資金調達

開業に必要な設備資金と運転資金を金融機関などから調達します。このときに、事業計画書などを求められます。運転資金の目安は、3〜6カ月分程度の人件費です。介護報酬は請求から支払いまで時間がかかるため、余裕をもった計画を立てましょう。

事業所などの確保

事業所・職員・設備・備品を確保します。職員は、保健師・看護師・准看護師のほか、介護報酬請求業務を行う事務職員も必要です。

都道府県知事などへ指定を申請

指定申請書類ならびに所定の添付書類を用意して、自治体の窓口で指定申請を行います。東京都の場合、申請書のほか、申請者の登記簿謄本または条例等、従業員の勤務体制及び勤務形態一覧表、管理者の免許証の写し、事業所の平面図、運営規定、利用者からの苦情を処理するために講ずる措置の概要などが必要です。また、事前に新規指定前研修を受講しなければなりません。担当者と打ち合わせをしておくと手続きをスムーズに進められます。詳しくは自治体でご確認ください。

事業の開始

手続きに問題がなければ指定通知書が届きます。申請から指定までにかかる期間の目安は1〜2カ月程度です。スタッフの教育、営業活動などを行って事業を開始します。

地域社会で重要な役割を担う訪問看護ステーション

訪問看護ステーションの概要や開業の流れなどを解説しました。主な特徴は、地域で療養生活を送る利用者の居宅を訪れて看護などを提供することです。介護保険・公的医療保険に対応しているため、2025年をめどに整備が進められている地域包括ケアシステムで中核的な役割を担うことが求められています。地域社会で重要な役割を担っているといえるでしょう。今後も需要は拡大していく可能性があります。

[1]出典:e-GOV法令検索「指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準」
https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=411M50000100037