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デイサービスの送迎業務とは?気になる送迎減算を解説

お役立ち情報

2023.2.15

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デイサービスの送迎業務は、単なる送り迎えではありません。実際の業務では、さまざまなスキルや業務全般に対する理解などを求められます。ここでは、送迎業務の概要と求められる資格、事業所を運営するうえで理解しておきたい送迎減算について解説しています。以下の情報を参考にすれば、備えておかなければならない能力や減算の対象になるケースなどがわかるはずです。事業所の運営にあたり、全体像を把握したい方は参考にしてください。

    

デイサービスの送迎業務とは

利用者を居宅などからデイサービスセンターへ、デイサービスセンターから居宅などへ送迎する業務です。軽自動車などで利用者を個別に送迎するケース、ワゴン車などで複数の利用者を一度に送迎するケース、福祉車両で利用者を送迎するケースなどがあります。福祉車両を用いる場合は、特殊な操作を求められることが少なくありません。

送迎業務のポイントは、一定のルートを一定の間隔で運行するのではなく、計画した時間に計画した場所で停車し、利用者が安全に乗降あるいは移動できるように介助することです。したがって、計画通り運航できるルートを提案・決定しなければなりません。送迎時に利用者の忘れ物などを確認すること、利用者の家族と健康状態など連絡事項を確認することも重要な業務です。また、送迎記録や運航表の作成も欠かせない業務としてあげられます。送迎記録は、計画通りにサービスを提供した証明になりえます。

実際の業務では、利用者の居宅に到着すると家族がいなかった、送迎中に車両をぶつけてしまったなどのトラブルが起こります。不測の事態に対応(緊急時の連絡)することも送迎業務に含まれます。ここまで見てきてわかる通り、業務の内容は多岐にわたるため、車両を運行できれば誰でも行えるわけではありません。一定の知識と経験などが求められる、デイサービスに欠かせない重要な業務です。

デイサービスの送迎業務に必要な資格

国土交通省が発表した「介護輸送に係る法的取扱いについて」で、デイサービスを含む施設介護事業者が行う利用者などの送迎は「自家用輸送」であることが明らかにされました。[1]バスドライバーやタクシードライバーのように第二種運転免許を必要とすると思われがちですが、自家用運送と位置付けられているため第二種運転免許は必要ありません。送迎に用いる車両の運転に必要なのは、公道で車両を運転するときに求められる第一種運転免許です。基本的には、普通自動車免許第一種があれば問題ないといえるでしょう。

送迎に使用する自動車の登録も「自家用登録(いわゆる白ナンバー)」になります。ただし、福祉タクシー(一般常用旅客自動車運送事業許可・特定旅客自動車運送事業許可)として営業する場合などでは、「営業登録(いわゆる緑ナンバー)」や第二種運転免許ならびに所定の手続きが必要になります。

ちなみに「介護輸送に係る法的取扱いについて」で、輸送の安全を確保する目的などで利用者送迎の外部委託などを促進することが明記されています。具体的な進展は見られませんが、施設運営を考えるうえで押さえておきたいポイントといえるでしょう。

デイサービスの送迎業務を行う際の注意点

実際の業務では、さまざまな点に注意が必要です。心がけたいポイントなどを解説します。

身だしなみに注意する

ドライバーや同乗者は、利用者とその家族などと顔を合わせます。寝癖がついている、洋服が汚れているなどに該当すると、信用を失ってしまうかもしれません。「安全に運転してくれるだろうか」「大切な家族を任せて大丈夫だろうか」などの不安を与えることも考えられます。社会人として、事業所の顔として、恥ずかしくない身だしなみを心がけます。

お酒の飲みすぎに注意する

車両を運転する以上、お酒の飲みすぎにも気を付けなければなりません。前日に飲みすぎると、アルコールが残っていることも考えられます。厚生労働省によると、1時間で分解できるアルコールの量は「体重×0.1g程度」です。[2]500mlのビールには20〜25g程度のアルコールが含まれています。個人差はあるものの、体重60kgの方であれば分解に4時間程度はかかると考えられます。ドライバーは、節度ある飲酒が求められます。

車両の操作を学ぶ

福祉車両には、一般的な車両とは異なるさまざまな機能が搭載されています。具体的には、車いすのまま乗降できるスロープやリフトが付いている、乗降しやすいようにシートが回転するなどがあげられます。これらの機能は、利用者が安全かつ快適に乗降するため欠かせないものです。ドライバーは操作方法を学んでおく必要があります。

安全運転を心がける

要支援・要介護状態の利用者を送迎するため、当然ながら安全運転も心がけなければなりません。事故を起こさなくても急発信や急ブレーキなどで、乗車中に利用者が体調を崩してしまうことも考えられます。また、運転マナーが悪いと、地域における事業所の評判も悪くなります。利用者ファーストの運転を意識します。

車内の掃除・点検を怠らない

車内が汚れていると、利用者に不快な思いをさせる恐れがあります。事前に掃除を行っておくことが重要です。また、利用者が忘れ物をすることも考えられます。降車後の点検も欠かせません。

送迎減算とは

デイサービスの事業者が利用者を送迎しない場合、算定できる単位数が減ることを意味します。算定できる単位数が減る理由は、送迎業務の報酬が基本報酬に含まれているからです。

基本的な要件は、利用者の居宅とデイサービス間の送迎を事業者が行わないことです。例えば、利用者が徒歩で移動する、利用者の家族が自家用車で送るなどが考えられます。あるいは、計画通り利用者の居宅へ迎えに行ったものの、何かしらの事情で利用者の家族が送った場合も減算の対象になります。計画を立てたうえで「実際に送迎を行っているか」が焦点になるからです。以上のほかでは、宿泊サービスの利用により送迎を行わなかった場合も対象になります。

一方で、事業所のスタッフが利用者を徒歩で送迎した場合は減算の対象になりません。車両による送迎が条件とはなっていないからです。例えば、事業所から利用者の居宅まで一緒に歩いて帰るなどが考えられます。また、同一建物等減算が適用される場合も送迎減算の対象とはなりません。同一建物等減算は、事業所と同じ建物に居住する利用者や事業所と同じ建物から通う利用者にサービスを提供した場合に適用される減算です。同一建物の例として、利用者の居宅と渡り廊下でつながっている建物などがあげられます。

【関連記事】居宅療養管理指導とは?算定要件を詳しく解説

送迎減算が適用される介護サービスの種類

対象となるサービスは次の通りです。

【対象】

  • ・デイサービス(通所介護)
  • ・デイケア(通所リハビリテーション)
  • ・地域密着型通所介護
  • ・(介護予防)認知症対応型通所介護

ここまでの説明を見てわかる通り、デイサービスも減算の対象です。要件などを確認して、適切に対処しなければなりません。

送迎減算の単位数

減算される単位数は、サービスの種類を問わず片道につき47単位です。したがって、往路・復路とも送迎を行わなかった場合は94単位となります。適用の有無は、片道あるいは往復を予め計画して、実際に送迎を行ったかどうかで判断します。前述の通り、計画したものの実際に行わなかった場合は47単位あるいは94単位の減算になります。

訪問介護の通院等乗降介助の見直しに伴う変更

併せて押さえておきたいポイントとして、令和3年度介護報酬改定による訪問介護の通所等乗降介助の見直しがあげられます。一見すると関わりがないように思えますが、実際の運用では大きく関わる恐れがあります。

今回の改定で、始点あるいは終点を居宅または事業所とし、途中に複数の目的地がある場合、目的地間の移送で生じる乗降介助について、同じ訪問介護事業者が行うことを条件に通院等乗降介助として算定できるようになりました。

経路の例として、利用者の居宅からデイサービスセンター、デイサービスセンターから病院、病院から利用者の居宅などが考えられます。以上の例で、デイサービスセンターから利用者の居宅までの通院等乗降介助を訪問介護事業所が行う場合、デイサービスはデイサービス・病院間の送迎を行わないため減算の対象になります。

デイサービスの送迎減算に気を付けましょう

この記事では、デイサービスの送迎業務と送迎減算などについて解説しました。送迎は利用者・家族と信頼関係を構築するとともに情報交換などを行う重要な業務です。単なる送り迎えと考えず、目的や役割を理解したうえで行うことが求められます。送迎減算は、利用者が徒歩で往復した場合や家族が送り迎えをした場合などが対象になります。片道につき47単位を算定できなくなるため要件などに注意が必要です。

[1]出典:国土交通省自動車交通局旅客課 厚生労働省老健局振興課 厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部障害福祉課「介護輸送に係る法的取扱いについて」
https://www.mlit.go.jp/jidosha/
sesaku/jigyo/jikayouyushoryokaku/
legalmanagementofwelfaretransport.pdf

[2]出典:厚生労働省e-ヘルスネット「アルコールの吸収と分解」
https://www.e-healthnet.
mhlw.go.jp/information/alcohol/
a-02-002.html