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訪問介護の2時間ルールとは?算定要件や注意点を紹介

お役立ち情報

2023.2.15

アイキャッチ画像です。

訪問介護の2時間ルールは、事業所の管理者などが押さえておきたい規定です。内容を理解していないと、想定通りに単位数を算定できないことなどが考えられます。具体的に、どのような規定なのでしょうか。ここでは、2時間ルールの概要と適用された場合に算定できる単位数の例、理解しておきたい注意点、例外として扱われるものなどを解説しています。理解を深めたい方は確認しておきましょう。

    

訪問介護の2時間ルールの概要

いわゆる「2時間ルール」は、1人の利用者に対し同日中に、2回以上、訪問介護サービスを提供する際に原則適用されるルールです。具体的には「同じ利用者に対して同日中にサービスを2回以上提供する場合、その間隔が概ね2時間未満であればひとつのサービスとみなす」とするルールを指します(間隔はあるサービスの終了時間から別のサービスの開始時間まで)。したがって、それぞれの所定単位数を算定したい場合、提供間隔に注意する必要があります。

ここでいう「概ね」に明確な定義はないため、1時間50分以上空けていればよいなどということはできません。実際の運用では、利用者の状況などを踏まえて判断することになります。同ルールは、利用者の生活リズムにあわせてサービスを提供するため、あるいは長時間のサービスを複数回に分けると介護報酬を多く算定できることがあるため設けられていると考えられています。

ちなみに、重度障害者を対象とする訪問介護で、身体の状況にあわせて短い間隔で短時間の滞在によるサービスを複数回提供しなければならない場合はこの限りではありません。この点も押さえておきたいポイントとしてあげられます。

訪問介護の単位数の計算方法

訪問介護の単位数(基本部分)は、サービスの内容とサービス提供時間で異なります。[1]

サービス内容 提供時間 所定単位数
身体介護 20分未満 167単位
20分以上30分未満 250単位
30分以上1時間未満 396単位
1時間以上 579単位(30分を増すごとに84単位)
生活援助 20分以上45分未満 183単位
45分以上 225単位
通院等乗降介助 1回 99単位

身体介護は介助者の身体が利用者に触れる介助サービス、生活援助は介助者が利用者に触れる必要のない介助サービス、通院等乗降介助は通院などのためにスタッフが運転する車両への乗車・降車を支援するとともに乗車前・降車後の移動などをサポートする介助サービスです。身体介護の例として食事介助、排泄介助、生活援助の例として掃除・洗濯・料理などがあげられます。

例えば、30分の生活援助を提供すると183単位を算定可能です。同様に、30分の身体介護を午前9時と午後3時に行うと792単位(396×2)算定できます。以上からわかる通り、サービス内容と提供時間により算定できる単位数は変わるため、2時間ルールの有無により介護報酬は異なる恐れがあります。具体的に、どのような違いが生じるのでしょうか。

訪問介護の2時間ルールの例

影響を理解するため、身体介護を、1日2回、提供した場合に算定できる単位数を、間隔2時間以上のスケジュールAと間隔2時間未満のスケジュールBに分けて算出します。

スケジュールAの単位数

【スケジュールA】

  • ・1回目の提供時間:9時30分〜9時55分
  • ・2回目の提供時間:13時00分〜13時25分

1回目の身体介護は9時55分に終了、2回目の身体介護は13時に開始しているため、1回目と2回目の間隔は3時間5分です。したがって、同ルールは適用されません。20分以上30分未満の身体介護で算定できる単位数は1回あたり250単位となっています。スケジュールAは250単位×2回(=500)を算定できます。

スケジュールBの単位数

【スケジュールB】

  • ・1回目の提供時間:9時30分〜9時55分
  • ・2回目の提供時間:11時00分〜11時25分

1回目の身体介護は9時55分に終了、2回目の身体介護は11時に開始しているため、1回目と2回目の間隔は1時間5分です。スケジュールBは2時間ルールが適用されます。つまり、1回目の身体介護と2回目の身体介護がひとつのサービスとみなされます。したがって、250単位(20分以上30分未満の身体介護の所定単位数)×2回は算定できません。身体介護を提供した時間は同じでも、算定できる単位数はスケジュールAよりも少ない396単位になります。

訪問介護の2時間ルールの注意点

実際の運用にあたっては、次の点に注意が必要です。

他の事業者のサービスも対象になる

意外かもしれませんが、同ルールの対象になるのは同じ事業者だけではありません。別々の事業所が2時間以内にサービスを提供した場合も、ひとつのサービスとみなされます。例えば、ある事業所が10時00分〜10時25分までサービスを提供し、別の事業所が11時30分から11時55分までサービスを提供した場合、合算して50分のサービスとなります。この場合、各事業所の介護報酬は事業所間の話し合いで決定します。

算定できない時間に注意

サービス提供中でも算定できない時間は、サービスを提供していないものとして扱われます。代表例といえるのが、通院介助(身体介護)の院内で過ごす時間です。この間は、基本的にサービスを提供していないものとして扱われます。したがって、院内で2時間以上を過ごすと行きと帰りを異なるものとして扱えます。

訪問介護の2時間ルールの例外

基本的なルールは以上の通りですが、一部の例外も存在します。押さえておきたい例外は次の通りです。

緊急時訪問介護

緊急時訪問介護(家族などの依頼を受けて行う計画にはない緊急的な介護)を算定する場合、間隔が2時間未満であっても異なるものとして算定できます。例えば、間隔が30分未満であっても同一のものとはなりません。

看取り期

看取り期の利用者に対する訪問介護は適用対象外となっています。柔軟な対応を適切に評価するためです。以上の背景があるため、事業者のメリットになる場合、このルールをあえて適用することも可能です。

一定の事業所が提供するもの

頻回訪問が可能な訪問介護事業所に適用される例外もあります。同事業所が提供する20分未満の身体介護は、2時間ルールに該当する場合も別のものとして扱えます。例えば、1時間以内に提供しても別々に算定できます。

通院等乗降介助

スタッフが運転する車両への乗降・降車、乗降前・降車後の移動、受診などの手続きを支援するサービスです。他の例外と同じく同ルールの適用を受けません。例えば、行きと帰りの間隔が1時間であっても別々のものとして算定できます。

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訪問介護の2時間ルールを押さえておきましょう

この記事では、管理者などが理解しておきたい2時間ルールについて解説しました。時間の間隔が2時間未満の場合は、一部の例外を除き所要時間を合算されるため注意が必要です。別の事業者のサービスも対象になる点も押さえておかなければなりません。ケースによっては、想定通りに単位数を算定できないことも考えられます。この記事で解説した内容を踏まえて、ケアプランなどを作成しましょう。

[1]参照元:WAM NET(独立行政法人 福祉医療機構)「介護給付費単位数等サービスコード表(令和4年4月施行版)」
https://www.wam.go.jp/gyoseiShiryou-files/documents/2022/0322211612293/202203b.pdf