【2021年度】介護保険法改正のポイント解説
2020年に成立した介護保険法改正は、2021年4月から施行されました。主な改正点は次の通りです。
- 地域住民のニーズに対応する支援体制の構築
- 地域の特性に応じた介護サービス提供体制などの整備
- 介護人材確保・業務効率化の取り組み
- 高額介護サービス費の見直し
「1」のポイントは、既存の支援体制では対応が困難なニーズに応えるため、新たに社会福祉法に基づく「相談支援」「参加支援」「地域づくり」に向けた事業を創設することです。これらにより、世代や属性を問わず相談できる環境を構築します。
「2」のポイントは、今後予想される介護サービスの需要増加、多様化などに対応するため、地域の特性に応じた介護サービス提供体制を整備することです。具体的には、認知症施策の総合的な推進、地域支援事業におけるデータ活用、介護サービス提供体制の整備を掲げています。例えば、介護サービス提供体制の整備では、介護保険事業計画の作成にあたり人口醸造の変化の見通しを勘案することが掲げられています。
「3」のポイントは、介護業界における人材不足と2025年以降に想定される現役世代の減少を見据えて、介護人材の確保と介護業務の効率化に関する取り組みを強化することです。具体的には、事業者の負担を軽減するため有料老人ホーム設置などに関する届け出事項の簡素化などを計画しています。また、人材不足に対応するため、介護福祉士養成施設卒業者に対する国家試験義務付けの経過措置を令和8年卒業者(改正前は令和3年卒業者)まで延長することになっています。
「4」のポイントは、利用者の負担限度額が変更になったことです(令和3年8月から)。高額介護サービス費は、1カ月の利用者負担合計が一定の基準を超えたときに超過分が払い戻される制度を指します。改正により2つの上位区分が設けられました。[4]
区分 |
負担限度額/月(世帯) |
課税所得690万円以上(改正で新設) |
140,100円 |
課税所得380万円〜690万円未満(改正で新設) |
93,000円 |
市町村民税課税〜課税所得380万円未満 |
44,400円 |
世帯全員が市町村民税非課税 |
24,600円 |
世帯全員が市町村民税非課税で「前年の公的年金+その他所得の合計が80万円以下」 |
24,600円 15,000円(個人) |
生活保護受給者 |
15,000円 |
※課税所得690万円は年収で約1,160万円
※課税所得380万円〜690万円は年収で約770万円〜1,160万円
改正により高所得者の自己負担限度額は大きくなっています。